2024年4月 《JA秋田グループ広報誌「かけはし」2024年4月号》
「特集」令和6年度事業計画のポイント
『入院診療への注力と外来機能分化・医療介護連携/DX*による業務改革の推進』
JA秋田厚生連
*DX…デジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)
1.厚生連を取り巻く状況について
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類へ引き下げられ、社会経済が平時に戻る一方で、国策としての医療機関への支援は大幅に縮小されてきており、本会の経営環境は再び転機に立たされています。
また、本県においては、令和6年度から「第8次秋田県医療保健福祉計画」がスタートし、医療計画の基盤となる二次医療圏の設定について、これまでの8つから3つへと広域化が図られ、将来を見据えた大きな政策転換が行われております。
従来の全8医療圏に病院を配置している本会にとって、その影響は少なくないと考えられるものの、引き続き各病院の現在の医療機能を維持しながら、地域の医療機関との機能分化・連携を進めてまいります。
2.第二期経営健全化計画の3年目
令和4年度からスタートさせた4ヵ年の中期計画「第二期経営健全化計画」は令和6年度で3年目となりました。
令和6年度も「入院診療への注力と外来機能分化・医療介護連携」、「DXによる業務改革の推進」を重点事項として掲げ、役職員が一丸となって取り組んでいきます。
引き続き、公的医療機関として、各地域における中核的医療機関として、安全・安心で質の高い医療を持続的かつ安定的に提供していく使命と責務を果たしてまいります。
3.事業方針
(1)健全な経営・財務基盤の確立
経営の健全化
地域の中核的医療機関として、入院を中心とする専門性の高い医療の拡充を図るとともに、人的資源を効率的に配置することによって、ムダのない運営体制の構築を図ります。
効率的な業務執行体制の構築
業務改善・効率化については、本所が主体となり、各病院と進捗や課題・問題点等を共有しながら協力して推進することで、着実な実践に繋げていきます。
また、DXによる業務改革として、事務業務の本所集約化、全職種における事務作業のRPA化(ロボット技術を用いて手順や工程を自動化)の推進を図ります。
収益確保対策
地域の病院・診療所といった医療機関に加え、介護系施設や在宅介護サービス等との連携を一層深めるため、訪問活動や病院主催による連携会議等を通じて、「顔が見える」連携体制づくりを進めながら、新患者の受入れ拡大を図ります。
また、令和6年度診療報酬改定を踏まえ、新たな診療報酬体系に対応した最善の体制を整えたうえで、早期の収入確保に取り組みます。
費用適正化対策
最大固定費である給与費については、職員の適正な配置を行い、その抑制に努めます。また、病院間比較等の分析を行いながら、是正すべき費目の洗い出しや削減に向けた取組みを進め、事業経費の適正化を図ります。
施設・設備の効率的な整備
令和5年度に実施した外来自動会計システムの導入など外来運用変更の定着化により、患者サービスの向上とともに、外来診療体制の効率化を図ります。
(2)地域医療構想を見据えた医療提供体制の見直し
機能分化と地域医療連携の推進
令和6年4月より二次医療圏が広域化されておりますが、本県の医療計画の進捗や各種施策の動向を踏まえつつ、本会各病院は当面、現在の医療機能を引き続き維持しながら、地域の医療機関との機能分化・連携を進めていきます。
病床の機能・規模の適正化
人口減少や少子高齢化、急性期患者の減少と回復期患者の増加などの医療需要推計を踏まえつつ、患者数規模に見合った体制による効率的な病棟運営の観点からも、病床の機能・規模について適宜見直しを図ります。
外来機能の分化促進
地域医療連携体制のもと、症状が安定した再来患者の逆紹介を積極的に進め外来新患率の向上を図り、外来機能分化を促進します。
(3)患者の視点に立った魅力ある病院づくり
安全で安心な診療体制の構築
引き続き感染症対策の徹底により安全・安心な受診環境・療養環境の整備に努めるほか、近年顕著となっている水害の頻発化・激甚化を受け、水害時の被害軽減を目的とする防災計画及び、被災時の医療機能の存続・早期復旧のためのBCP(事業継続計画)策定の両面から、水害を想定した災害対策について検討します。
患者サービスの向上
接遇への意識向上とレベルアップを図るとともに、アンケート等をもとに患者ニーズを的確に把握し、患者の視点に立ったサービスの提供に努めることで、快適な療養環境の整備を図ります。
(4)働きがいのある職場環境づくり
医療従事者の確保
医療従事者の働き方の改善と負担軽減を図るため、資格が無くても行える業務について補助者等へのタスクシフトを促進します。
勤務環境の整備
令和6年度から開始となる医師の時間外労働の上限規制を遵守し、長時間労働となっている医師に対する面接指導や勤務間インターバルの確保等、適切な労務管理に努め、良質な医療を持続的に提供できる環境整備を図ります。加えて、職場におけるハラスメントの根絶を目指し、相談体制の充実や防止策等の強化を図ります。
医療を担う人材育成と技術向上
多種多様な医療スタッフによる専門性を活かしたチーム医療を実践するため、個々の職員の資質・能力・技術の向上を目的とした職種ごとの人材育成プログラムや新人教育プログラム等を実施するとともに、将来を担う病院職員の経営参画意識の向上を図ります。