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JA秋田厚生連ニュースダイジェスト JA秋田厚生連グループ(病院・本所)の取り組みやイベントなどをお伝えしていくコーナーです。

ニュースダイジェスト

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2023年12月 《JA秋田グループ広報誌「かけはし」2023年12月号》

かけはし特集 多数傷病者受入訓練について

由利組合総合病院

1. 当院の概要

 当院は、由利本荘・にかほ地域の救急症例を7割以上受け入れている地域の中核的医療機関です。第二種感染症指定医療機関として秋田県内の新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れてきました。また、由利本荘・にかほ地域唯一の災害拠点病院であり、災害時に必要な医療を提供する役割を担っています。

2. 多数傷病者受入訓練について

 東日本大震災のような大規模自然災害や福知山線脱線事故のような大型事故が起きると、一度に多数の傷病者が発生する可能性があります。その場合、災害拠点病院などが多数の傷病者を受け入れる役割を担います。災害時に多数の傷病者を受け入れるためには、日常的な診療を一部休止し、災害対応(多数傷病者受入体制)に切り替える必要があります。
 しかし診療中の病院が、通常診療体制から多数傷病者受入体制に切り替えることは容易ではなく、事前の準備無しでは決して対応出来ません。そのため、当院では平成28年から多数傷病者受入訓練を実施し災害に備えています。

3. 多数傷病者受入体制について

 災害の発生により多数傷病者を受け入れる事態になった場合、迅速に通常診療体制から多数傷病者受入体制に切り替えます。当院では関係する各職種、各職員が病院1階フロアに集結して、1階全体を使って災害対応の体制を作ります。
 正面玄関にトリアージエリアを設置し、傷病者が到着したら最初にそのエリアで緊急度を評価します。トリアージとは、傷病者の状態を確認し、傷病の緊急度や重症度に応じて治療の優先順位を決めることです。トリアージにより、「最優先に治療する赤」「待機的に治療する黄色」「軽症な緑」「救命困難な黒」に振り分けて、傷病者をそれぞれの治療エリアに収容します。
 また、駆け付けたご家族を収容する「家族対応室」も設置して、不安な思いを抱えるご家族への対応も大切にしています。
 そして、これらすべてのエリアの情報を整理する「外来指揮本部」をエントランスホールの中央に設置します。

4. 多数傷病者受入訓練の実際

 実際の多数傷病者受入訓練とはどのようなものか、コロナ禍前に実施した訓練を例に挙げて説明します。
 この時の訓練は、震度6弱の強い地震が発生し、約1時間の間に30名程の傷病者が搬送されて来るという想定で実施しました。

 地震発生後、即座に災害対策本部を事務室に設置し、病院長の指揮により災害に関する情報を収集します。収集した情報を基に多数傷病者を受け入れると判断したら、関係職員を1階フロアに動員し、「トリアージエリア」「緊急度別の患者治療エリア(赤、黄、緑、黒)」「家族対応室」「外来指揮本部」などの災害対応エリアを設置します。
 また、この時の訓練では、地元の由利本荘市消防本部とにかほ市消防本部からご協力をいただき、50名程の消防職員に救急隊や傷病者、その家族役として参加してもらいました。訓練では救急車も使用し、実際にサイレンを鳴らしながら搬送します。本当の災害時のような臨場感、緊張感を出すためには、消防職員皆さんの協力が欠かせません。

 救急車等によって傷病者が搬送されてきたら受け入れを開始し、次々に搬送されてくる傷病者に対しトリアージを行います。その後、各治療エリアに収容して診察し、緊急治療が必要な赤の傷病者から手術室や病棟に移送します。

 消防職員の皆さんの現実味あふれる演技によって、病院職員も本当に災害が起きているかのように、緊張感を持って真剣に取り組むことができます。また、病院と消防が一緒に訓練することによって、実際に災害が起こった時に、双方がきちんと連携して活動するための練習にもなっています。

 また、平成30年の訓練は、東北DMAT参集訓練と日程を合わせて開催しました。他県のDMATチームや陸上自衛隊からも当院に来ていただき、これまでで最も規模が大きい訓練を経験できました。病院職員は、医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師・診療放射線技師・リハビリテーション技士・臨床工学技士・事務職員など約210名が参加しました。これほどの規模で訓練を実施する機会はなかなかありませんので、大変貴重な経験となりました。

5. 今後も地域の医療を守るために

 今年は関東大震災から100年という節目の年であり、災害への意識が全国的に高まっています。しかし、コロナ禍で大規模な訓練がなかなか実施できない医療機関が多いのが現状と推測されます。当院も、大規模な訓練は以前ほど実施できていないのが実情です。
 災害は、できれば起きてほしくありません。しかしながら、災害は起きますし、いつ何時発生するか分からないのが自然災害や事故なのです。そのため、万に一つ発災した場合にどのように対応するのかを私たちは常に考えておく必要があります。
 当院はその「万が一」に備え、訓練を継続することが極めて重要と考えています。迅速かつ的確な災害対応を目標に、関係機関と連携して多数傷病者受入訓練を重ねてまいります。
 由利本荘・にかほ地域における中核的医療機関であり、唯一の災害拠点病院として、日々の通常診療はもちろんのこと、災害など有事の際にも地域の皆様に安全・安心で適切な医療を継続して提供できるよう努めてまいります。

「地域医療連携の会」並びに「がん診療連携拠点病院研修会」を開催しました!

秋田厚生医療センター

 10月28日、当院大会議室にて「地域医療連携の会」並びに「がん診療連携拠点病院研修会」を開催しました。土崎医談会、男鹿潟上南秋医師会の皆様より共催を頂き、地域の医療機関15施設から20名、当院から20名が参加し、盛況に開催する事が出来ました。
 内容は、当院整形外科 小林孝副院長による「脊椎手術の進歩と当院の取り組み」、当院糖尿病・代謝内科 下斗米孝之診療部長による「糖尿病医のひとりごと」、秋田大学大学院医学系研究科消化器外科学講座 有田淳一教授による特別講演「膵癌と大腸癌肝転移の外科治療の最前線」の3演題が発表され、会場の先生方からの質問もあり、活発な意見交換が行なわれました。
 新型コロナウイルスの影響で開催出来ない期間もありましたが、地域の医療機関の皆様と顔の見える関係を築きたいとの思いから始まったこの会も、今回で20回を迎える事が出来ました。これも医師会の皆様のご支援の賜物と感謝しております。
 この会は、地域の各診療科の先生方と直接お会いして、病院に対するご意見や要望、地域の実情を知る貴重な催しであります。今後、高齢化が進む中で、病診・病病連携、医療・介護連携は益々重要になりますので、今後も顔の見える関係を築きながら、医師会の皆様とさらに連携が深められる会として、永続していきたいと思います。

共に進もう地域医療 ~高齢化社会を地域で支えるために~
「第62回農村における健康を考える集い」 

JA秋田厚生連

 11月3日、潟上市の「トレイクかたがみ」において「第62回農村における健康を考える集い」を開催し、約130名に来場いただき、盛会のうちに終えることができました。
 この集いは、秋田県種苗交換会行事の一環として秋田県農協中央会、秋田県厚生連、一般財団法人秋田県農村医学会の共催で昭和35年から開催しており、今年は、湖東厚生病院が担当病院となり、「共に進もう地域医療~高齢化社会を地域で支えるために~」をテーマに実施しました。
 第一部では、湖東厚生病院の4名の専門医等が『地域医療への取り組み』について講演を行いました。内科の漆畑宗介医師は「最後まで自分らしく暮らすために~人生会議について~」、内科の伊藤善昭医師は「オンライン診療の実際~介護施設との連携~」、添野俊彦言語聴覚士は「食べる喜びを~介助者とできる誤嚥性肺炎の予防~」、消化器内科の石井元医師は「消化器がんから家族を守るために」、というテーマで講演し、地域医療が果たす役割の重要性を知る良い機会になりました。
 第二部の特別講演では、秋田大学大学院医学系研究科脳神経外科学講座の清水宏明教授をお迎えし、「よくある脳や頭の症状:こんなときどうします?」についてご講演いただきました。脳卒中や認知症について、また頭が痛いときのチェックポイント・対処法を症例を挙げながら分かりやすくご説明いただき、医療関係者や地域住民の方々が熱心に聴講していました。
 ご参加いただいた皆様に心より感謝を申し上げますとともに、次回は鹿角市での開催を予定しております。