2022年7月 《JA秋田グループ広報誌「かけはし」2022年7月号》
令和4年度診療報酬改定について
JA秋田厚生連
1.令和4年度診療報酬改定について
診療報酬改定は、医療の進歩や日本の経済状況などが反映されるように2年に一度定期的に行われるものです。診療報酬改定では基本方針(図1)を策定し、その施策に見合った診療点数の新設、削除、見直し等が行われます。また、進歩する医療技術や医療機器及び薬品の適正な評価が診療報酬改定により行われます。
今回の改定では、基本方針のポイントとして次の4項目が挙げられています。
(1)「新型コロナウィルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築」、(2)「安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進」、(3)「患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」、(4)「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」です。今年度改定では新たに新型コロナウィルス対応が付け加えられ、働き方改革とともに重点課題として位置付け、医療機能の分化・強化、連携を着実に進め、地域医療構想の実現に向けて取り組む内容となっています。
診療報酬改定では医療技術の評価や診療項目、薬価などで改定率を用い、診療報酬の増減を示します。今回の診療報酬改定率は技術料等を評価する診療報酬本体で+0.43%ですが、薬価、材料等部分で合わせて▲1.37%となり、全体改定率では▲0.94%となることから、秋田県厚生連でも大きな影響を受けることが推測されます。最近の改定率の推移は図2のとおりです。
2.改定の基本的視点
「新型コロナウィルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築」
- 今般の新型コロナウィルス感染症の感染拡大においては、局所的な病床・人材不足あるいは、医療機関間での役割分担・連携体制等、地域医療の課題が浮き彫りとなりました。
- こうした中、新型コロナウィルス感染症患者への対応についてみても、重症者に対応する医療機関、中等症者あるいは回復後の患者さんに対応する医療機関、更には自宅・宿泊療養患者へ医療を提供する医療機関など、それぞれの医療機関が地域医療を守るための役割を果たしています。
- 今後の新興感染症等の感染拡大時にも機動的な対策が講じられるよう、平時からの取り組みや感染拡大時の対応について、あらかじめ地域の行政と医療機関間で準備をしていくことが重要になります。
- 今般の感染症対応の経験を踏まえ、感染拡大時の短期的な医療需要には、各都道府県の「医療計画」に基づき地域全体での医療機能の分化・強化、連携を着実に進めることが必要となります。
「安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進」
- 地域医療構想の実現に向けた取り組み、実効性のある医師偏在対策や医師の働き方改革等を推進し、総合的な医療提供体制改革を実施していくことが求められています。
- 医師の働き方改革等に関しては、令和6年4月から、医師について時間外労働の上限規制が適用される予定となっており、医療法の改正も踏まえ、各医療機関は労働時間短縮に向け計画的に取組むことが必要となります。
- 勤務医の労働時間短縮に向け、診療報酬において、タスク・シェアリング(業務の分配)、タスク・シフティング(業務の移管)やチーム医療の推進等、医療従事者の高い専門性の発揮と医療機関における勤務環境改善に対する取組みを評価しています。
「患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」
- 患者さんの安心・安全を確保しつつ、医療技術の進展、疾病構造の変化などを踏まえ、デジタル化への対応、イノベーションの推進、不妊治療の保険適用など、新たなニーズ等に対応できる医療の実現に資する取り組みが評価されます。
- 患者さん自身が納得して医療を受けられるよう、身近で分かりやすい医療の提供が重要となります。
「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」
- 高齢化をはじめとする社会情勢や、医療技術の進歩、高額薬品の開発などにより医療費が増大していくことが予測される中、国民皆保険を維持するため医療資源の効率的な配分という観点も踏まえ、精度の安定性・持続可能性を高める取り組みが必要となります。
- 医療関係者が共同し、医療サービスの維持・向上と併せ、効率化・適正化を図ることが求められます。
3.外来医療の機能の明確化・連携
医療機関の選択にあたり、患者さんの大病院志向が強くある中で、一部の医療機関に患者さんが集中し、待ち時間や勤務医の外来診療負担等がこれまで大きな課題となっていました。加えて、人口減少や少子高齢化といった社会的な問題も背景にあることから、今後は、かかりつけ医機能を強化するとともに、外来機能の明確化・連携をさらに進めるなど、課題を解消していく必要があります(図3)。具体的には、日常行う診療はかかりつけ機能を有する身近な医療機関で受け、専門性が高い場合は、紹介を受けて、患者さんの症状に合った他の医療機関を受診し、その後状態が落ち着いてから逆紹介によって身近なかかりつけ医療機関に戻るという流れをより円滑にするものです。これにより外来患者さんの待ち時間の短縮や勤務医の外来負担の軽減、更には医師の働き方改革に影響を与えるとされています。
診療報酬改定ではこのような施策を進めるために、新たな点数制の導入や、目指すべき方向へ導くための基準を設定・遵守させることで、適切な医療を提供する体制づくりを求めます。しかしながら、病気やケガにより不安な思いを抱える患者さんの診療を拒むものではありません。患者さんの症状に応じた適切な医療の提供は、医療機関にとっての責務と考えています。
秋田県厚生連では国が目指す医療の方向性を理解し、総合的な医療提供体制の構築に向け取り組んでいきますが、何よりも安心・安全な医療を患者さんに提供できるよう日々努力して参りますので、引き続き、ご理解、ご協力をよろしくお願い致します。
プランターに花の苗を植え、病院周辺のクリーンアップを行いました
湖東厚生病院
梅雨入り前の晴れ間がのぞいた週末の夕方、当院では昨年も患者さんに好評だった花苗の植え付けと病院周辺のクリーンアップを行いました。
日勤の勤務終了後に集まった職員およそ50名が手分けし、用意した40個のプランターにマリーゴールド、インパチェンスやベゴニアを植え付けると、正面玄関は一気に明るい雰囲気に様変わりしました。
どの職員も勤務を終えたばかりとはいえ、正面玄関の前に準備された色とりどりの花苗を前にすると、すぐに笑顔の輪が広がり、和やかな雰囲気の中で作業が進む様子が印象的でした。
同時に、いくつかのグループに分かれて病院周辺に落ちていたゴミを拾うなど、敷地内の環境整備も実施しました。
コロナ禍でのこの2年余り、医療機関では、発熱等の症状がある患者さんの診療・対応に神経を使い続け、残念ながら、職員同士でも明るい話題に乏しく、息苦しさが付きまとうこともありました。
そうした中で、今回は短い時間ではありましたが、爽やかな空気の中で多くの職員が参加し、予定していた全ての作業が終了したあとは、お茶とお菓子が振るまわれ、リラックスした様子でした。
和気あいあいと患者さんを迎える準備をすることができたことは、またとないリフレッシュの機会になりました。