2015年4月 《JA秋田グループ広報誌「かけはし」2015年4月号》
平成27年度 事業計画のポイント
医療機関等に求められる、急速に進む高齢化への対応
秋田厚生連本所
厚生連を取り巻く状況及び事業計画について
国が推進する社会保障・税一体改革に基づき、平成27年度から都道府県が新たに「地域医療構想(ビジョン)」を策定するなど、団塊の世代が後期高齢者となる2025年を目途に、わが国の地域医療のあり方が大きく見直されようとしています。
その中で、平成26年度は、国が2年ごとに行う医療の診療報酬改定(医療費の算定ルール等の見直し)で幕を開けることになりました。この改定では、すでに医療における来るべき超高齢化社会への対応・対策が含まれており、今後、加速度的に増加が見込まれる高齢者の医療に対応するため、退院後の生活を見越した手厚いサポートへの評価として「地域包括ケア病棟」の基準が新設されたことは実に象徴的です。
この病棟が、厚生連病院で治療を終えた患者さんが在宅医療・介護施設等へスムーズに移るための橋渡しとなり、地域の医療機関等の役割分担や関係機関間の連携強化が促進されることが求められていると言えます。
当会では、平成26年度、7病院で地域包括ケア病棟を設置、運用を開始し、今後さらに拡充していく計画です。また、入院直後等で重篤な患者さんへの医療についても、今年度、一般病棟の機能・体制を充実させるなど、各病院が所在する地域の医療ニーズに対応した見直しを図ります。
平成27年度は「第二期経営改善計画」の2年目にあたり、持続的な成長による経営・財務基盤の強化を図るため、こうした新たな課題等に対応しながら、以下に掲げるポイントを中心に、様々な取組みを一層推進していくこととしています。
医療機能分化と連携の推進
病院・病床の機能・規模の見直し
- 県の地域医療構想(ビジョン)を見据えた病院機能の選択と病床機能分化を進め、患者需要に見合った適正規模での病棟運営など、体制の再構築を進めます。
ICT(情報通信技術)を活用した医療連携の推進
- 大曲厚生医療センター、北秋田市民病院に続き、由利組合総合病院において医療連携のネットワークシステムを導入し、地域の医療機関等との緻密な連携体制の構築や紹介患者さんの受入れ拡大等を目指します。また、他の病院においても、導入に向けた検討を進めていきます。
患者さんの視点に立った魅力ある病院づくり
患者サービスの向上
- 患者さんや地域の皆さんに安心感と信頼感を持って来院していただけるよう、病院ごとに接遇向上策を掲げるなど、職員一人ひとりの接遇意識の向上とレベルアップを図ります。
- 多様化する患者ニーズに対応した、使いやすい病院ホームページに更新し、利用者の選択に配慮した情報提供の推進に努めます。
施設の維持・保全対策の推進
- 竣工から長期を経過した能代厚生医療センター(旧・山本組合総合病院)・由利組合総合病院の建物や設備については、調査診断の結果に基づき、自主財源、行政からの支援、緊急度等を勘案しながら、効果的な修繕・設備更新を実施します。
医療従事者確保対策
医師確保対策
- 地域別・診療科別の偏在が顕著となった病院を主体に取組みを強化するほか、全国厚生連と連携した首都圏大学への医師招聘活動等、新たな視点に立った対策を実施します。
看護師確保対策
- 医師同様に全国厚生連と連携した取組みとして、首都圏に会場を設定し就職説明会を開催するなど、積極的な確保と定着化に向けたPR活動を充実させます。
薬剤師確保対策
- 大手就職情報インターネットサービスへの登録による、薬学生への働きかけ等により、当会の情報提供・発信の強化を図ります。
情報提供の強化
- 求職情報等に特化したスマートフォンページの運用や本所ホームページとの連携により、医療従事者の確保に向けた情報提供を強化していきます。
働きがいのある職場環境づくり
勤務環境の整備
- 保育所について、由利組合総合病院・秋田厚生医療センターに続き、平鹿総合病院にも設置したことから、その効果を検証し、他の病院においても設置に向け検討していきます。
職員満足度の向上
- 年次有給休暇の取得を促進するための取組みを奨励するとともに、広く患者サービス向上に資する職員提案を募集し、職員のモチベーション向上を図ります。
保健事業
保健事業
- 組合員及び地域住民の生活習慣病を中心とした疾病予防の充実を図ります。
- 市町村・JAとの連携のもと効率的な事業運営に努めます。
- 県の重点施策である「がん検診体制の充実・強化」について、取組みを強化します。