2021年04月 《JA秋田グループ広報誌「かけはし」2021年04月号》
令和3年度 事業計画のポイント
『変革期に対応する病院運営体制の再構築』
JA秋田厚生連
厚生連を取り巻く状況について
医療を取り巻く情勢は、人口減少や少子高齢化の進行に伴う患者数の減少に加え、医師不足・医師偏在等の課題が山積する中、さらに新型コロナウイルス感染症の甚大な影響もあって、経営環境は一層厳しいものとなっています。
当会は、県内における感染症病床を有する「第二種感染症指定医療機関」の大半を担っており、県や関係機関との緊密な連携のもと、県内の感染症医療の最前線に立ち、県民の健康・医療の確保を最優先に、懸命に取り組んでいるところです。全国的に感染症の拡大と長期化による医療提供体制の危機に直面する中、当会においては、経営環境の変化に迅速に対応し、今がまさに大転換期にあるという認識のもと、経営基盤の再整備を進めます。その上で、引き続き感染症に対する県内の医療提供体制の維持・確保に積極的に貢献し、安全・安心で質の高い医療を持続的かつ安定的に提供していく使命と責務を果たします。
コロナ禍における病院運営体制の再構築
新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、病院経営においては取扱患者数の落ち込みから急激な収益悪化に陥っています。感染症の収束如何にかかわらず、患者数の水準が元に戻ることは望めないとの前提に立ち、今後の事業運営のあり方を考えていかなければなりません。
こうした状況を踏まえ、収益に見合った費用規模を実現すべく体制の見直しを図り、あらゆる業務遂行の場面において、いわゆる「ウィズコロナ」「新しい生活様式」を想定し、様々な運用の見直しにも積極的に取り組みます。また、日々刻々と変化する今日の情勢に対し、スピード感を持って適切な対応を図り、医療・保健・福祉の各事業を展開します。
第一期経営健全化計画の総括と第二期計画の策定
第一期経営健全化計画の最終年度として、3ヵ年中期計画の総仕上げを行います。また、これまでの取組みを踏まえ、なおかつ、コロナ禍における今後の事業運営のあり方を見据えながら、第二期計画の策定を行います。
患者の視点に立った魅力ある病院づくり
良質な医療を提供するための環境整備
更なる感染防止対策の徹底に努め、本所設置の「新型コロナウイルス感染症対策本部」主導のもと、県と緊密に連携しながら、会全体としての統制を図り、安全・安心な受診環境・療養環境の整備に取り組みます。
患者サービスの向上
感染症の流行状況に留意しつつ、ニーズに応じた訪問教室や医療フォーラム等の開催を通じ、地域住民の健康づくりをサポートします。また、見やすい・耳に入りやすい・馴染みやすい多種多様な媒体により、病院の事業内容等を積極的に情報発信します。
健全な経営・財政基盤の確立
効率的な業務執行体制の構築
急激に医療需要が縮小した現状においても、引き続き健全な病院経営を保っていくため、患者数規模に見合った体制への再構築を図るべく、事業所各部門における業務執行体制の総点検と見直しに取り組みます。また、業務の効率化を図るため、自動化・デジタル化を視野に入れた業務見直しの検討、各種会議や研修会等のリモート化を進めます。
収益確保対策
二次医療圏における厚生連病院と周囲の医療機関との役割分担を明確にしながら連携強化を図り、紹介・逆紹介を推進することで新患者の受入れ拡大に繋げ、収益確保に努めます。
費用適正化対策
施設や設備、各種機器の保守契約については、契約そのものの必要性をも含めた抜本的な見直しを行い、徹底した費用削減に取り組みます。
働きがいのある職場環境づくり
勤務環境の整備
「働き方改革」の進展に伴い、時間外労働の縮減を目指し、職員が各自の労働時間を意識しながら業務に取り組むよう周知を図ります。また、全病院に導入整備した勤怠管理システムを活用しながら、より適切な労働時間の管理・把握に努めます。
職員満足度の向上
「職員満足なくして患者満足はなし」との理念のもと、職員満足度調査の結果等を踏まえ、更なる勤務環境の改善・充実を図ります。
新型コロナウイルスの感染リスクを抱えながらも、強い使命感を持って懸命に対応する職員に対し必要な支援を行うなど、安心して働ける環境づくりに努めます。
地域医療構想を見据えた医療提供体制の見直し
機能分化と地域医療連携の推進
地域医療構想調整会議における議論を踏まえ、厚生連病院の役割・機能を明確にし、将来の地域の医療需要を見据えた機能分化と地域医療連携を推進します。
地域の実情を踏まえた病床の機能・規模の適正化
人口減少や少子高齢化に伴う患者数の減少、急性期患者の減少・回復期患者の増加などの環境変化に応じ、病床の機能・規模の見直しを適時行います。特に病床数については、患者数規模に見合った体制への見直しを検討・実施し、病棟運営の効率化を図ります。