2016年10月 《JA秋田グループ広報誌「かけはし」2016年10月号》
緩和ケア病棟について
大曲厚生医療センター
大曲厚生医療センターでは平成26年の新築移転に合わせ緩和ケア病棟を開設いたしました。緩和ケア病棟としては秋田県内で2番目、秋田県の厚生連病院としては初めての開設となります。
がんは、日本人の死因で最も多い病気です。現在、3人に1人ががんで亡くなっています。
秋田県において、がんは昭和57年に初めて死因の第1位となり、昭和59年から連続して死因第1位となっています。そして、がん死亡率は平成9年から18年連続全国第1位の状況が続いており、平成26年にがんで亡くなった人は4,211人となっています。
緩和ケア病棟について
緩和ケアを専門的に行う病棟のことを「緩和ケア病棟」と呼びます。ただし、緩和ケア病棟はがん治療を行うところではなく、がんに伴う身体的・精神的な苦痛をできる限り和らげる治療やケアを提供する病棟です。がん患者さんは、がん自体の症状のほかに、痛み、倦怠感などのさまざまな身体的な症状や、落ち込み、悲しみなどの精神的な苦痛を経験します。緩和ケアは、がんなどの重い病気を抱えた患者さんの体やこころなどのつらさを和らげ、できるだけ自分らしい生活が送れるように支えていくことを目指す医療です。
大曲厚生医療センター緩和ケア病棟の特色
当院の緩和ケア病棟は、『がんに伴う「からだ」と「こころ」のつらさを和らげ、いつものあなたらしい生活が送れるよう、あなたと家族を支えます』を理念としております。
当院の緩和ケア病棟の特色は、大きく2つあります。
一つ目は、がんが進んでも自宅で過ごすことを目指して苦痛症状を緩和するとともに、リハビリテーションを積極的に導入していることです。
二つ目は、自宅で過ごせないときには、第2の家として緩和ケア病棟で過ごせるような環境づくりを目指しています。
リハビリテーションの積極的導入
緩和ケア病棟では、苦痛症状を和らげる治療のほか、希望される患者さんにはリハビリテーションなどを行い自立した生活の維持に努めています。
リハビリテーションは、がんの進行とともに体力低下が進み、活動度が低下していくのを遅らせるだけではなく、患者さんの希望をつないでいく意味でも重要です。多職種カンファレンスでは、患者さんごとにリハビリの実施状況を確認し、体力や患者さんの意欲に合わせて目標を変えています。積極的な治療が必要になった場合には、治療科と相談のうえ緩和ケア病棟から治療科へ転科することも検討いたします。
多職種カンファレンス
緩和ケア病棟では毎週1回、緩和ケア病棟の患者さんにかかわっているすべての職種が集まり、各職種の方から担当の患者さんに関して情報提供をしてもらっています。多職種カンファレンスには主治医、病棟看護師、緩和ケアチーム専従看護師、リハビリスタッフ、管理栄養士が参加しています。
例えば、食事に関してですが、食事は入院生活の中での楽しみの一つであり、栄養管理の面からみても重要です。がんの進行とともに食欲は低下してきますが、食事のメニューや見た目の工夫により食欲が出てくることもあります。患者さんが食べたいもの、食べられるものを、関わっているスタッフから意見を出してもらい、食事内容を検討しています。さらに、カンファレンスのあとに管理栄養士が患者さんと直接会って、食事の内容を検討しています。
食事以外のことについても同様に、気になる症状や患者さん、家族の思いについて、情報提供してもらい、治療とケアの方針を立て、スタッフ全員が同じ方針で患者さんに関われるようにしています。
療養しやすい環境
緩和ケア病棟は当院の4階にあるルーフガーデンに面しており、患者さんはベッドに寝たままでも、日光浴やボランティアの方々が手入れしてくれているバラの花や野菜などを見て楽しむことができます。部屋は全て個室で、部屋にはテレビ、保冷庫、ソファーベットまたは畳ベッド、トイレ・シャワー、洗面台が付いています。病棟にはキッチン、談話室、浴室、家族控室を設置しております。患者さんへの付き添いは自由にでき、面会時間に制限を設けておりません。気分転換や癒しのために、自宅で一緒に暮らしていたペットとの面会も可能です。
一般病棟から自宅へ退院する前に苦痛症状の緩和を目的に緩和ケア病棟を短期間利用することもできます。
また、緩和ケア科外来に通院している患者さんが、家庭の事情などで自宅療養が一時的に難しい場合、緩和ケア病棟へ短期間入院いただくことも可能です。
私たち医療従事者は皆さんを支えていけるよう努めて参りますので、一人で悩まずにご相談いただきたいと思います。
緩和ケア病棟は、皆さんの暮らしを大切に考えている病棟です。緩和ケア病棟の利用を考えている方は、現在の主治医の先生や病院のがん相談支援センターにお問い合わせください。
<緩和ケア病棟に関する問い合わせ先>
大曲厚生医療センター
電話:0187-63-2111
窓口:がん相談支援センター
曜日:月~金曜日
問い合わせ時間:8:30~17:00
『インターンシップ』~医療職を目指す学生さんへ職場体験を~
JA秋田厚生連
『インターンシップ』とは、学生が夏休みなどを利用し、様々な職場で一定期間就業体験を行い「会社ってこんなところ」「仕事ってこんな感じ」という経験を積むことのできる制度です。
厚生連の病院でも、将来病院で働く職員(医師・看護師・コメディカルなど)を目指す多くの学生を対象に、毎年実施しています。今回は、夏休みに行われた看護師を目指す学生の『インターンシップ』の模様をご紹介いたします。
高校生対象のインターンシップでは、院内の施設見学の他、看護師と同行する事で様々な部署の役割を知ってもらいました。また看護師の仕事や、患者さんとのふれあいを通し、職業としての看護師をイメージしてもらいました。
看護学生には、看護師がチームを組んで、患者さんを中心とした医療を行っている場面を体験してもらっています。学生からは、「学校の演習とは全然違う」「看護体制を見学して安心した」「学校内では意識しない安全や感染の重要性が分かった」などの感想が聞かれました。病院施設として、院内保育所やショートステイの併設など、職員が育児や介護をしながら働ける環境や、地域と連携しながら安心して生活できる環境整備に努めております。特に、職員一人一人の患者さんへの接遇や、職員同士のあいさつを心がけている事は、気持ちよく働ける職場環境として大変好印象を持っていただいております。
基礎的な学習を終えた学生は、日常生活のお世話や特殊検査の見学なども体験できます。今年から看護学生のインターンシップは、対象を全学年とし、可能な病院であれば通年の実施として参加者の拡大を図っております。
JA秋田厚生連ではこのインターンシップを通して、多くの方に医療職の『楽しさ』や『やりがい』を実際に体験していただき、将来を担う学生のみなさんが、厚生連の病院で活躍できるよう支援を続けてまいります。
① 清潔ケア <看護師と共に患者さんの足浴>
- 患者さんから感謝の言葉と笑顔を頂きました。
② 内服薬の準備見学 <看護師の実際の仕事の様子を見学>
- 間違いの無いように、清潔に準備しています。
- いろいろなルールがあることを学びます。
③ 指導者さんとの情報交換
- 患者さんのこと、業務内容のことをチームで相談し合いながら業務を進むことを体験します。
④ 経験を終えて
- それぞれ、各部署での体験を終えたあと、参加した学生と指導者・先輩看護師との意見交換の場を持ちます。
- 病棟で聞けなかったことや他の学生さんの体験も共有できます。
「奨学金制度」で皆さんの夢を応援します!
医師・看護師を目指し、進学を考えている学生さんに対する奨学金貸与の申し込みの受け付け中です。詳しくは下記までご連絡ください。
<お問い合わせ先>
JA秋田厚生連・医療従事者確保対策室
TEL 018-864-2652 URL http://www.akitakouseiren.or.jp