2016年4月 《JA秋田グループ広報誌「かけはし」2016年4月号》
平成28年度 事業計画のポイント
「地域医療構想」と医療提供体制の再構築に向けて
秋田県厚生連
厚生連を取り巻く状況及び事業計画について
医療を取り巻く情勢は、地域人口の減少や高齢化の進展に伴う疾病構造の変化等に加え、社会保障・税一体改革が進展する中で、県民が安全で安心な質の高い医療を受けられるよう、県が「地域医療構想」を策定し、同構想に定める2025年(平成37年)に向けて医療提供体制の再構築や「地域包括ケアシステム」(※)の構築が進められるなど、すでに大きな変革期に入っています。
こうした中、厚生連では、公的医療機関、地域の中核的病院としての病院機能の再編などを実施し、良質な医療の提供と経営の安定との両立が図られる体制を構築する必要があることから、平成27年度に「病院機能の再編」、「職員定数の適正化」、「収益向上や経費削減などの経営効率化」に関するプロジェクトチームを設置し、「病院機能再編等計画」を策定しました。
当該計画は2025年における厚生連病院の方向性を示すものですが、その過程において、平成30年度までの3ヵ年を第1ステップとして、課題等を整理し、対策を講じていくこととしています。
平成28年度においては、当該計画に掲げる取組みを着実に推進していくとともに、「第二期経営改善計画」の最終年度にあたり、目標達成に向け、右記の新たな状況等に対応しながら、以下に掲げるポイントをはじめ、様々な取組みを一層推進していくこととしています。
(※)高齢者が出来るかぎり住み慣れた地域で生活できるよう、医療・介護・住まい等を一体的に提供していこうとする国の政策。
当会のイメージキャラクター・こころん
第二期経営改善計画の推進
収益確保対策
- 医療機関・介護施設等との連携を更に強化し、増加する高齢の患者さんの状態に応じた適切な支援ができるよう、入退院サポート体制の充実を図ります。
- 平成28年度診療報酬改定が実施されましたが、的確な診療報酬算定に努め、収益確保を図ります。
費用削減対策
- 安価な後発医薬品への切替え促進等を継続するほか、様々な医療機器の購入に関して、9病院のスケールメリットを生かした廉価購入に努めるとともに、物流管理システムの運用による院内物流管理業務の効率化等を図ります。
施設の維持・保全対策の推進
- 竣工から長期を経過した能代厚生医療センター・由利組合総合病院の建物や設備について、効果的な改修・設備更新を実施します。
病院機能再編等計画の推進
病院機能再編計画
- 地域医療構想や診療報酬改定の動向を踏まえつつ、各病院が所在する医療圏ごとの医療機能の分化と連携に対応した体制を構築します。
- 主に高齢の患者さんが、退院に向けてリハビリ等を続けながら療養する「地域包括ケア病棟」を、北秋田市民病院・秋田厚生医療センターで新規に設置します。
職員定数適正化計画
- 病院機能再編計画において目指す医療提供体制の構築に向けた必要人員を明確にし、適正な職員配置を実現します。
- 医療を担う人材を育成するため、職種ごとの新人教育プログラムの充実を図ります。
経営効率化計画(収益向上・経費削減)
- 平成28年度診療報酬改定に迅速に対応し、これまでの取組みに加え、医療サービス提供の更なる充実等により、収益向上を目指します。
- 放射線機器に関する契約内容や形態の見直し、保守契約先の絞り込み等による費用削減に取り組みます。
医療従事者確保対策
医師確保対策
- 地域別・診療科別の医師の偏在が顕著となった病院を主体に、地元市町村との連携による医師確保の取組みを強化します。
- 平成29年度から導入される「新専門医制度」への対応に向け、関係機関と連携しながら研修プログラム等の整備を行うなど、専攻医(後期研修医師)の確保対策を実施します。
看護師確保対策
- 病院実習・病院見学等の受入体制の充実や奨学金制度のPR等を継続するほか、認定看護師等の育成に向けた資格取得支援に努め、キャリアアップ支援策を検討するなど看護職員の定着化を図ります。
薬剤師確保対策
- 薬学生の病院実務実習受入に関する共通マニュアルの策定により、実務実習の標準化や充実を図ります。