ニュースダイジェスト

去る7月20日に当院において「ブラックジャックセミナー」が開催されました。このセミナーは東北では初めての開催となり、ニュースや新聞など大きくメディアに取り上げられました。対象は能代市内の中学生とし、定員の約2倍の応募の中から抽選で選ばれた29名がセミナーに参加しました。セミナーの内容は①救急救命体験（人形を使っての心肺蘇生体験）、②手術縫合体験針（針で縫ったり、糸を結んだりする体験）、③自動縫合器体験（手術で実際に腸を切ったり繋いだりする器械の体験）、④最新医療機器体験（最新の超音波メスで鶏肉を切る体験）、⑤内視鏡トレーニング体験（モニターを見ながら作業する体験）、⑥腹腔鏡シミュレーター体験（実際の胆嚢摘出術のシュミレーション体験）の6つの体験をそれぞれ20分程度ずつ体験してもらいました。子供達は目をキラキラと輝かせながら初めての経験に取り組んでいました。

このセミナーは、未来ある中学生に医療現場の体験を通して医療に興味を持ってもらい、将来医療に携わる仕事に就きたいという思いを強くして欲しいという願いから企画されました。アンケートの結果、参加した全員が満足度満点をつけ、将来医師になりたい、看護師になりたいという思いが強くなったという回答が多くみられました。近年地方の病院は慢性的な医療従事者不足にあえいでいます。このセミナーを通して将来地域の医療を担う人材が育っていくこと期待し、今後も定期的に開催していきたいと考えております。

去る9月1日（日）、由利本荘市文化交流館カダーレにおいて、「由利組合総合病院創立80周年記念式典」ならびに「特別記念講演会」を開催しました。職員一同の願いが通じ、前日まで荒れ模様だった天候が、当日は見事な秋晴れとなり、記念すべき日を晴れやかに迎えることができました。

昭和8年8月、当時の困窮する農民たちが互いに少額の出資金を積み立てて「由利医療購買利用組合」を設立したのが当院の歴史の始まりです。以来80年、当院は幾多の変遷を経ながらも、常に地域の住民の皆様と共に歩んできました。当院は、現在も尚、由利本荘・にかほ医療圏において、救急、急性期医療はもちろん、へき地医療、在宅医療に至るまで、様々な医療分野を手厚くカバーし、当該地域の中核的な病院としての役割を担っています。

この度の記念式典は、80年にわたる長い歴史の中で当院を支えてくださった多くの皆様方に感謝の意を表し、農協、行政、地元医師会、当院ＯＢなど各方面の関係者の皆様方をお招きして総勢約200名の参加により開催しました。また、特別記念講演会については、東北大学総長の里見進先生より「地域医療の今後」というテーマで、秋田大学大学院医学系研究科長・医学部長の澤田賢一先生からは「赤芽球癆をめぐって」というテーマでご講演をいただきました。特別講演は一般にも公開し、日頃当院に足を運んでくださる地域住民の皆様にも聴講していただきました。医療従事者のみならず一般の方にとっても大変興味深いテーマであったこともあり、客席は約四百名の参加者によって埋まり、盛況に開催することができました。

折しも、今回の記念行事の会場である「カダーレ」は、昭和8年の病院開設から平成6年に現在の場所に移転するまでの60余年にわたり旧由利組合総合病院が所在していた場所です。地域における「医療の拠点」から「文化・芸術の拠点」に役割は変わりましたが、地域の人々が心と体を癒すために集う場所であることに変わりはありません。この地で記念すべき行事を開催し、長い歴史を顧みることができたことは、私たちにとって至極の喜びでありました。

創立80周年という節目の年を迎え、地域の皆様をはじめ当院を支えてくださっている皆様方のご厚情に感謝するとともに、「質の高い医療により地域に貢献する」という理念のもと、今後も地域住民の「いのちと健康」を守るために尽力していかなければならないと気持ちを新たにした一日となりました。当日、記念式典ならびに特別記念講演会に参加していただいた皆様、本当にありがとうございました。